完走記

2005年5月15日  鯖街道マラニック  8時間44分43秒(公式)

 江戸時代、福井の小浜で取れた鯖を京都まで担いで走った街道を鯖街道という。

 「京は遠ても十八里」といわれた街道を昔どおりのコースで走る大会です。競争ではなく、昔の人の苦労を偲びつつ、自然と戯れるピクニックをサポータースタッフが見守ってくれるイベントです。いわば大団体の遠足、って感じ。

 あるHPの練習記録でこの大会を知ってから走りたい!っと思
って、4月前にエントリーしました。3月に初フルを走ったけどそ
れ以上の距離は走ったことがなく走りきれるか、非常に不安で
した。それでも走りたいという気持ちを大事にしたい。5/14の夕
方には小浜駅に着いていました。
 


準備〜助走
 
夢の中、自分は自転車をこいでいた。ロードレーサーにのってユニフォームもバッチリ決めている。40〜50km/hの速度でギリギリになりながら飛ばしている。

 起きたら、汗びっしょり。パンツとTシャツで寝ていたがパンツもTシャツも汗だくだ。布団が薄くて、横向けに寝ると肩と腰が痛くなる。痛くて寝付けなく、4回も起きて1階のトイレに行った。4回目は4時過ぎだ、もう起きなければいけない時間なのでトイレから帰ってせこせこと準備を開始した。     


 昨日の夜に民宿で一緒にご飯を食べたグループの中にトライアスロンをやっている人たちが居てその話が夢に影響したんだ。いつかはトライアスロンをやりだす自分がいるような気がした。

 準備は、膝のテーピングから足首のテーピングを行い、ワセリ
ンを足裏と股と胸(心拍計をつける位置)に塗って、乳首にバン
ドエイドを貼ってOK。Gテックのロングタイツを履いてゼッケン
付き長袖Tシャツを着れば万事OK。

 
 4時40分、朝ごはんに行くと、もうみなさん食べ始めていた。自分もお茶碗3杯もご飯を食べて栄養補給はOK。さらに昨日作っておいたスペシャルドリンクを飲み飲み、民宿「富士」を出た。このSDにはカーボパウダーとヴァームとクエン酸と大豆ペプチドを混ぜている。      
 
 民宿を出ると一緒に泊まっていたあのグループの人がリュックに「エフ」が付いていないって教えてくれた。えっ?あれいるの?ドッヒャー、確かゴミ箱に捨てたー!あわてて自分の部屋に戻ってゴミ箱からエフを取り出した。このエフを京都におくるトラックのせる荷物に付けるのです。あったー助かった。教えてくださり感謝!民宿を出ると2,3分で集合場所の公園に到着。民宿富士は最寄の宿泊所です。

 公園にはすでに沢山の人が待っていた。350人くらいいるの
でしょうか?比較的お年寄りが多いし、女性も多い。荷物をトラ
ックに預けて焼き鯖予約票を持ってウロウロしました。誰に聞
けば焼き鯖を注文できるのかなー。スタッフの人に聞いたら
5/9までに申し込み締め切った。でも、京都に行って余ってたら分けてもらえるよ、って聞いてがっかり。京都ではもうなくなってるだろうな。

5時40分にマイクで今から小浜の商店街へ歩いて行くとアナウ
ンスがあり、ゾロゾロと民族移動が始まった。商店街が集合場所
だとガヤガヤして早朝から迷惑をかけるのでこういうスタイルに
なっている。今回で10回を迎えるこの大会ももう運営は慣れた
ものだ。





 商店街の真ん中あたりに「さば街道基点」の石碑があった。
ここがスタート地点だ。

 みんな結構うれしそう。緊張で顔が引きつっている人などいな
い。

 
 どこかの御宿のおかみさんだろうか?おばちゃんのピストル
の合図とともに6:00スタート。

スタートから下根来 9.4km 57’06” 休憩含む速度 km6.1分
 ズーッと舗装道路を走る。早朝なので車の通行量も少ないが要所要所にスタッフが居て交通整理をしてくれている。あとから気が付くが全コースに亘ってスタッフの人が居てくれる。山の中にまで分け入って、順番を数えている。ビックリだ。サービス過剰で運営が大変になったというのもうなずける。

 ここから飛ばして、故障したら元も子もないのでゆっくり走る。萩往還のTシャツを着たオッサンがいいフォームで走っている。この人についていこうっと思い下根来に到着。

 下根来では、鯖街道の大壁画。デカイ。これも地元の人が                      
ボランティアで書いて大会運営主催者がビックリしたそうだ。

 ここで始めてのエイド。かつてはスタッフも知らなかった地元
有志のボランティアエイドです。このコースにはこういうボランティアが多く、本当に感謝させられる大会です。人気が出るのは当然の気がします。

 ここからのエイドには大体、塩こぶ、梅干(種を抜いてくれている所もある)、バナナ、飴、チョコレート、塩、きゅうり、水、スポーツドリンク、麦茶が置いてある。自分は塩こぶときゅうりが気に入りました。特に塩こぶは歯に適当に挟まっていつまでも口の中に残るので時間差で栄養補給できるんです。


 
〜上根来 14.8km地点 1時間36分10秒 休憩含む速度km7.2分
 下根来を過ぎてやや上りになりますがまだまだ舗装道路を走ります。エイドで置いていかれた萩往還にも追いつきまたしっかりコバンザメ。前に二人組みの女性が現れ楽しそうに話しながら走っている。ちょうどおなじくらいの速度なので一緒に走っている。少し上り坂になってそのうち一人の女性が遅れ出した。先に行ってと言っていたが未だ先は長いのにこんなところで分かれてしまうのだろうか?後でわかったが、ウルトラでは適当に一緒に走って適当に分かれるのが常のようです。
 
 上根来エイドに到着。ここで尿意をもよおしていたのでトイレの表示に従っていくと民家でした。そこにおばちゃんが座っていて大会の様子を眺めています。

 「トイレをお借りします。」というと案内してくれました。自分の家のトイレを貸してくれているんです。この大会用のトイレは一つもありません。全てボランティア。すばらしい。

 トイレに入ると暗くて低くて便器に命中する自信がありませんでした。そこで大の方に入ってしゃがむとアラアラ、大も出ちゃった、ラッキー♪。

〜根来峠 19.6km地点 2時間24分6秒 休憩含む速度km12.1分
 上根来を過ぎると林道に入ってまもなくすると山道へ
 右の写真がそこなんでですが、こんなところで驚いて入られない山道がこの後に続きました。木が道の上に倒れていてその下をしゃがんで通ったり、道幅が20〜30cmと狭くなっていて踏み外すと崖の下に落ちる所とか、走りながら、追い越し際に「アスレチックみたいですね。」って声をかけてしまいました。
 
 この前にスタッフの人が119番目って声を掛けてくれました。こういわれると自然に一人抜くたびに自分の順位は何番目、って数え出すから、ダメですねー。煩悩のかたまり!イカンイカン。

 根来峠では山道で前の人も歩いていないので歩きます。んなもんでつらいということはなく、反ってホッとしたりします。適当に段差があったり岩場があったりで緊張するので単調になりません。ズーっとつづく舗装道路の上での76kmよりおもしろく、飽きが来ないのはこんな山道のおかげだろうと思います。

 根来峠頂上手前で昨日、民宿で一緒に泊まったトライアスリートの中辻さんと杉浦さんに会いました。程なくして根来峠(871m)山頂、ここで101位とまた教えてもらいました。少しこの2人と一緒に走りましたが、自分が前に出て分かれました。ここから下るところもゴロゴロした岩や石が道にあり、走りながら下ると石が転がって転びそうになります。結構怖かった・・・。

〜針畑診療所前 27km地点 3時間6分56秒 休憩含む速度km6.2分
 根来峠から下ると林道に戻ってまた山道に下りまた林道に戻ります。林道というのは車が通れる舗装していない道のことです。(山道には車は通れません。)

 ここら辺から腰に違和感が出てきました。まだ1/3なのにこまったものです。しばらくすると集落があり、エイドステーションがありました。身体がきつくなってくるとこのエイドステーションは本当にありがたいものです。

〜山本酒店 36km地点 4時間10分31秒 休憩含む速度km7.1分
 針畑診療所エイドから出発してすぐにトイレにガマンできずコースから外れて立ち○ョン。コースに戻るとさっき一緒に走った杉浦さんと中辻さんに会いました。
 あれー?どこからでてきたの?
河 ちょっと小さい方で・・・

杉 小さい○ンコね。
 このあとは、先に行ってといわれてもこの2人と一緒に走ることに決めました。

 集落がボチボチあり山の中の村って感じの風景を眺めながら平坦な舗装道路を走ります。自分はあまりしゃべらなかったけど杉さんは、洒落っけたっぷりな人で全然退屈しませんでした。

 遠くからエイドステーションでーっす。って声を張り上げてる人がいます。山本酒店のオーナーでしょうか。山本酒店ではこのコース初めてビールの自動販売機がありますが買って飲んでいる人なんていませんでした。(その次のエイドでは飲んでいる人がいましたけど。)このエイドではちゃんとトイレに入って用を済ませました。

〜久多 41.2km地点 4時間43分13秒 休憩含む速度km6.3分
 山本酒店を出発してちょっと上り坂になり杉さんが遅れ出しました。先に行ってるから〜って中さんはかまわず先に行くので自分も中さんについて行きました。
 
 自分達の前には誰もいなく、コースミスしてるんじゃないか?って不安に陥っているとちがう道左手からゼッケンをつけて走っている集団がありドキっとしました。よくみるとゼッケンの色が違います。自分達は青であちらはオレンジ。へー同じような大会があるんだー。っと思いましたがこの大会には、小浜から走りきる体力がない人達用に梅ノ木から42kmコースもあることを思い出しました。あー、その集団だ。この人たちは今朝京都に集合して梅ノ木までバスで来てスタートしています。自分達がその集団に入ると、小浜組だー、もう来たー、速いねー。ってコソコソ話してます。速くないですけどねー。


 また、上り始めて最大の難関オグロ峠が近いことを予感させてくれました。山本酒店手前から傷み出した腰がかなりきつくなています。早く山道に入りたいそしたらなんとか腰が治るって、何の脈略もない理屈にはまりながら走っていました。

 久多のエイドに到着。ここではおにぎりが出ます。4種類のおにぎりがあったのですが一人2個までって書いてあったんでどれにしようか真剣に悩みました。結局、赤飯とチャーハンおにぎりにしました。赤飯はもち米なんで栄養満点です。ここではきゅりが生でおいてあり、塩をつけて食べるのがはやっていました。みんな、おいしいネー、何本でも食べれるねーって言って大繁盛。きゅうりがエイドではやるのはなぜなんでしょうか?あまり栄養とは関係ない気がしますが、清涼感と他の塩こんぶや梅干などの口直しに良いんでしょうね。ここではうどんも貰いました。ちょっとしたお昼ご飯です。そのほか、ケーキやパンも食べて満腹!

 
 腰を回しながら、腰痛をほぐしていると杉さん到着。そんじゃ先に行ってるからっと、中さんが杉さんに声を掛けると「信じられない!」って杉さんが顔でパフォーマンス。助さん角さん珍道中って感じ。

〜オグロ峠 44.7km地点 5時間28分22秒 休憩含む速度km12.8分
 久多のエイドを過ぎて一気に山道と思っていたら少し林道が続いてそこから山道に入ります。

 久多から3.5kmのあいだに500mも標高差があるのでさぞ厳しかろうと思っていたらあっというまにでした。もうここらへんにくると3kmという距離は、長く感じません。距離感が麻痺してきます。

 一緒に走っている中さんは、月刊ランナーズの企画である一歳刻み順位で全国78位に入るツワモノだけあってすごいパワーです。特に上りに成ると山道だろうがどんな坂でも走り続けるので一緒についていくと心拍数が160bpmにまで上がってしまいました。ちょっときつい・・・。

 このままいくとつぶれてしまうのでときどきは歩いて上ってもらいました。中さんも結構つらかったみたいです。体重が47kgしかないく上りには向いているんだヨ、って中さんが言っていましたが、むむ自分の娘より体重少ないかも^^;

 オグロ峠頂上(870m)には、なーんにもありませんでした。

〜杉峠 56.8km地点 6時間56分5秒 休憩含む速度km7.2分
 オグロ峠からフナ林の山道を下りました。ここは道がフナの木の枝や枯れ葉で埋まっていてどこが道なのか判らなくなります。よくこんなところはしるわなーって思いながら前の人についていきます。
 
 杉峠へ向かう途中にエイドステーションがありここでも休憩しました。例によって腰をくるくる回して腰痛をなくそうと必死。中さんは整骨医さんなんで聞いてみました。腰が治るツボってありますか?って。
 
 筋トレはやってますか?って聞かれて、「腹筋と背筋とスクワットは毎日やってます。」って応えると「腹圧をかけるんですよ」って一言。腹圧?聞いたことありませんでした。
 
 腹を引っ込ましてお腹の内部に力を加えると内部から支えてくれる筋肉が鍛えられて腰に負担がかからなくなりますよ。毎日一回は腹圧を書けるようにしてください。ってアドバイスしてくれました。うーん、いいかもしれない。


 杉峠は最後の山ここを通り過ぎれば京都まで下りしかないので気が楽になります。杉峠のエイドではそんな雰囲気でランナーを応援してくれています。あとは下りだけだからガンバッテ−ってネ。ここではそうめんがご馳走になれます。なんか食べてばっかりだ。

〜鞍馬温泉 63km地点 7時間33分38秒 休憩含む速度km6.3分
 一緒に走っていた中さんが、「杉さんは10時間以内でここを走ったことがあるそうなんで10時間以内で走りたいと思っていたけど、このままだと9時間も切れるかも」と言い出しました。自分は10時間以内であれば上等って思ってましたからこのままゆっくり一緒に走れればと思ってたんで、こりゃ先に行ってもらおうかなー、って思いました。

 山道から林道にそして舗装道路を下り、どんどんスピードが上がります。やっぱり中さん、9時間切りを狙ってるなー、って感じ。鯖街道は距離は76kmですが山道があるので筋力としては100kmを走る体力と同じ脚力が必要で、このタイムに1時間足すと100kmの時間を予想できるそうです。9時間を切るってことは100kmマラソンのサブ10を狙うってことと同じことなんで魅力だ、って言うのが中さんの話。

 ここらでまた尿意に耐え切れず立ち○ョン、中さんには先に行ってください。っと行って貰いました。また、舗装道路を結構な速度で走ったもんですから両足に豆が出来てしまいました。この豆の痛みで腰痛を忘れたので反ってよかったかもしれません。20分ほど一人旅しましたがまた、中さんに追いつき、鞍馬温泉のエイドに付きました。

 ここで中さんに先に行ってもらって、持っていたバンドエイドで豆が向けないように治療しました。バンドエイドは小さくて豆が出来そうな部分を覆うには役不足でした。とりあえず水をかけて足を冷やしてゆっくり休みました。

〜市原 67km地点 7時間54分57秒 休憩含む速度km5.3分
 腰痛を忘れて走れたので快調でした。鞍馬からは明らかに疲れたーって格好で走っているランナーが多かったです。そらから暑かったです。自分はロングTシャツでしたんで腕をまくって走りました。杉峠までは、ロングTシャツでも肌寒さを感じるくらいでしたからこの格好(ロングTシャツ、ロングタイツ)で正解!って思っていましたが市街地に入ると暑いの何の。

 人間が勝手に暑くして暑い暑いって言ってクーラー付けて、また暑くしてんだ。

 市原のエイドであと9kmです。って教えてもらいました。もう先は見えたぞ。
〜ゴール 76km 8時間44分43秒 休憩含む速度km5.5分
 市原のエイドを過ぎてからは500mから1kmおきにスタッフがいます。そのたびに声を掛けてくれるので気持ちの支えになりました。ここら辺に来るとあと5kmになったら歩こうか?って思ったり悪魔のささやきがしました。いいや絶対歩かない、歩いたら負け・・・誰に負けるのか???よく判りませんがそんことを考えながら走りました。

 あと5kmってところから自分がいつも走っている片道5.5kmコースをイメージしながら走りました。そうするとあと4km、あと3kmってイメージが掴みやすかったです。

 京都では、葵祭りということですごい人です。鴨川の河川敷を下って走るのですがその河川敷は公園になっていて結構な人ですれ違いざま、ガンバッテーって応援してくれる人もいました。ジョギングしてる人も居てよく知っているのか応援してくれていました。

 その人だかりの中、前方に見慣れた後姿のランナーがいました。中さんです。「いやーまた追いついちゃいました。」って言ってまたもや2人旅。中さんは自分が追いつくとスピードを上げるんです。自分はここから楽できると期待してるんですが、楽させてくれないんですよ。

 「ゴールで写真を撮ってくれるんですよ。7月くらいか忘れた頃に送ってくるんですが(笑い)。よかたらいっしょに写真に写りませんか」と中さんが言っ
てくれ、すかさず「エっ?、ハイ!」とこちらこそよろしく
って感じでした。

 それからドンドンスピードが上がって最後の200mは
完全にkm4分代で走ってました。不思議なくらい元気
でした。

 ゴールでは、全員ゴールテープを切らせてくれます。ゴールテープを切ると自然に両手を上げてしまいます。やったーて感じにさせてくれるんですよね、両手をあげると。

 ゴールして、中さんとがっちり握手。こんなタイムでゴールできたのは中さんのおかげです。

 ゴールタイムのメモを渡されて記録係の人に渡して記録証に書いてもらいました。そしてお土産のロングTシャツと焼き鯖をもらって缶ビールを2本もらって具だくさんの豚汁を食べました。

 そうそう、焼き鯖は一本千円で余ったらもらえるって言っていた鯖が、 ありました。1000円払ってもう一本ゲット。家は5人家族だから1本じゃ足りなかった。2本持って帰って正解。

 豚汁を食べながらあっというまに2本のビールも開けちゃいました。河川敷を亘る風が寒く感じられびっしょりになったロングTシャツを脱いで、貰ったTシャツを着ました。撥水性のあるスッゴクいい素材で鯖のマークがついています。

 お風呂券も貰っちゃったので銭湯に行きました。ここは昔ながらの銭湯で番台さんもいます。石鹸がないんで20円でちいさな石鹸を買いました。

 うれしい大会です。走るのが楽しくなる大会です。また出てみたいと思う今日この頃です。


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